No.7 2021年10月12日 公式写真集「GET BACK」全世界同時発売


先週末はLet It Be 2021 MIXのデラックス盤のハイレゾ音源や、Blu-rayでサラウンド音源を聴きながらGET BACK 日本語版を一気に読み切りました。
本は大型でぶ厚く、写真集というよりは当時の実況中継のような内容です。
値段は高く、翻訳も昭和の意訳のような固さがありますが、これまで知らなかった真実や、誤解がとける内容が多い良書です。初回版には、特典としてロビーカードが4枚同梱されておりました。

この本は3つのパートに分かれており、はじめにトゥイッケナム映画撮影所でのレコーディング、次にアップルスタジオへ移動してからのレコーディング、最後にアップルビル屋上でのルーフトップコンサートの構成になっており、1969年1月2日から31日まで行われたGet Back Sessionと屋上ライブまでの期間に録られたムービーとサウンドトラックからの写真とメンバー間の会話が文章化されています。

とくに当時4人は基本的に土日週休2日制で活動し、ルーフトップコンサート本番前の追い込み期にはお互いに声を掛け合い土日返上で活動していた事実などを知り、これまでよりもなぜか親近感がわきました。
ルーフトップコンサートは、当時4人が設立したAppleの本社ビルの屋上で行われましたが、今から21年ほど前に高級オーダーメイドスーツ仕立て屋が店を連なるロンドン中心部のサヴィル・ロウ(日本の背広の語源という説もあり)にある旧Apple本社ビル前を訪れた際には、外観は改修されていたものの当時の面影がそのまま残されており、こんなところで昼間にライブを演ったんだと思うくらい静かなビジネス街でした。

映画 Let It Beではメンバー同士の言い争いもあり全体的に暗く重い雰囲気

映画Let It Beでは、その昔江川 卓さんがジャイアンツ入団会見時に「冷静にやりましょう」と言った部分が切り取られて集中砲火を浴びたように、映画では時間の都合もあったためか後世に誤解を招く編集になっていたことが読後に理解できました。
PaulやRingoが新しくなったGet Backの試写を観てうれしくなったとのコメントがあったように、当時4人はお互いの価値観を大切にしながらよいアルバム、よい曲を創ることを目的に前向きに、時に熱く議論を重ねており、ホワイトアルバム制作時のように個でなくバンドとしての作品づくりを目指した様子がありありと伝わってきました。
また映画Let It Beでは、JohnとYokoはバンド活動に無関心であるかのうような場面が切り取られていましたが、今回あらためてビートルズのリーダーはJohnであり、気まぐれながらここぞという時は4人を率いていたことを再認識しました。

2021年10月15日 「Let It Be 2021 MIX」全世界同時発売

新しいMIXでは、Across The Universe、Get Backのアルバムバージョンが新鮮で、また1969年当時にボツになったアルバムゲットバックやGet Back Sessionからの音源の量はもの足らないものの、レアな音源が公式盤として素晴らしい音質で楽しめることは感涙ものです。

一方でジャイルズ・マーティンによるDolby Atmosバージョンなど臨場感あふれるサラウンド音源が聴けるBlu-rayは、他の限定セット同様BOX仕様でしか手に入らず、今後はぜひ単独販売も検討してもらいたいと思います。


また昨年封切り予定だった映画GET BACK が、いよいよ2021年11月25日よりDisney+にて2時間×3日間連続で配信されます。合計6時間超の配信とのことで編集カットが少ないことは大歓迎なのですが、やっぱりいつか映画館の大画面で楽しみたいものです。